N的馬券生活
 GI3連戦の初っ端、オークスだ。もともとヤバい人気馬にとことん喧嘩を売るってのがテメーのコラムの味だと思ってるが、今回のはまさに大喧嘩。波乱含みのGTで、人気馬にぬるい印を打つような予想に用はない。ばっさりと、大ミエ切らして頂きます(-。-メ)y-.。o○。
【オークス】

「馬を見たら次のローテとその結果のシナリオをある程度描いておくこと」
目の前ののレースを当てるため「だけ」にパドックで馬を見ているとしたら、その人はまだまだ、ということになる。というか、そういう人ほど前走の「着順・結果」に惑わされやすい。その馬の体型やパーツを見て適性をしっかり把握しておけば、その馬が次のレースで買いなのか、消しなのかはより具体的に描きやすくなる。例えば、こないだの京王杯にしたってそうだ。1〜2周は安田記念のことも考えながら馬を見る。1400mがいい馬と1600mがいい馬はやはり違うから。そうすれば京王杯の結果に左右されることもない。まあテレグノシスは府中で巻き返すというシナリオは良かったが、それが京王杯と頭の中で直結しなかったのは痛かったけど(笑)。もっというとビリーヴの京王杯の取捨なんて去年から既に終わってなきゃならない。高松宮杯を勝ったから打つ印なんてオレから言わせりゃ最低だ。馬を見るってことはそういうことだ。そういう意味では桜花賞も同じ。オークスを考えて馬を見てたのかが問われてくる。まあ、オレは桜花賞パドックは見れないので、レースと馬体写真というもので補完するしかないんだけどね。オークスはそのレースや写真の積み重ねで予想することになる。

 アドマイヤグルーヴのオレが考えてたシナリオは、桜花賞で消してオークスで本命、だった。関東パドッカーで調教やレースVTRを見てる周りのみんなも同じような考え方だったと思う。というか普通それしか出てこねーし。が、本命に推すはずのグルーヴが「やっちゃった」。おそらく某誌の立ち写真見て気づいてる人も多いと思うけど、右前脚に裂蹄防止テープをくっきり巻いてる。いや、もちろん、裂蹄の馬だって走ることはある。ただそれも影響が少ない場合だけ。調教VTRを見ると前回の桜花賞の時よりも明らかに体を斜めにして、右前脚をかばうように走ってるのだ。それも前脚に負担の少ないはずの坂路でね。直線での全速疾走、しかも芝で、この馬が持ってる能力を十分発揮できるんだろうか?という疑念が否が応でも頭をもたげてくる。モタれるか、ズルズル失速するか…。しかもどこを見たってグリグリの大本命の馬さ。この馬の取捨どーするよ?

 この裂蹄の情報を載っけてる新聞ってあるんだろうか?多分ねーだろ。大本命の馬のヤバイ情報を載せる度胸のある新聞なんて(というか載せたら次回から取材拒否だろうな)。JRDBは脚元とか、馬具とか、他紙にない情報を大事にしてる会社だ。じゃあ、いや、だからこそ、不安な根拠がハッキリしてるこの馬を無印といきたい。それがJRDBのスタッフとしてできる今回、最大の仕事だと思う。当日裂蹄テープを外してたって走れない方に賭ける。3日で直るもんでもねーし。もちろん、この馬を買いたいという人に、何が何でも消せとゴリ押しするつもりはサラサラない。でもどうせ本命サイド買うのならより安全な馬に賭けるのが筋ってもんだろう。オレならこの馬に賭けようとした金をダービーに持ち越す。

 スティルインラブは「競馬の達人」でも書いたように徹頭徹尾「消し」でいく。前走は生粋のマイラーだからこそ重い印を打った。胴も脚も短くて、引き付けが速いから加速性能に優れている。当然スピードもある。だからこそ桜花賞であれだけ自在に動ける(桜花賞コラムを参照)。逆に言えばスピードのあるマイラーが負けるのがオークス(例外はチアズグレイスぐらい)。走りが小さい馬をオークスで本命に押すなんて、冗談じゃないね。大事なのは伸縮のあるフォーム、前肢が伸びるストライド。ギアで言えば4速重視。ただしヤマカツリリーのように大きいだけで伸縮がない、つまり加速性能がないのも駄目だ。単調なだけになるから。4コーナーで加速(3速)して、坂でさらに再加速(4速)、そして坂上の伸び(トップ)という「つながり」が必要だから。

 本命は非常に悩むとこなんだけど、シーイズトウショウにした。「おいおいバクシンオー産駒かい」って笑わないでね。この馬のこれまでの結果はキレ負け、スピード負けの歴史だ。勝ったのは未勝利でしかも時計の掛かる1200mのみ。ようはマイラーやスプリンターとしては「遅い」部類に入る。でもちゃんと加速できて伸び伸びとしたストライド、立ち写真からみる長めの胴、むしろ距離が伸びてこの馬の良さが活きるという構造が理解できる。そしてどこからでも馬群でも競馬ができるセンスの良さは当然大きな武器になる。昨年「遅い」スマイルトゥモローが勝ったように、オークスはマイル向きのスピードなんてむしろ無いほうがいい。2400mでスピードなんて邪魔なだけだ。

 相手にはメモリーキアヌ。案外線の細い馬なんで底力でどうかな?と思ったが、とんでもなかった。上がりの勝負なのに他馬をアッサリ抜き去っていくギアと伸びは凄い。まあ府中巧者らしいトニービンの脚だな。適性の高さを示した以上、重い印は当然だろうと。マイネルヌーヴェルは2走前に豪快な脚を使ったが、これはあくまでハイペースの前崩れ。桜花賞で4番人気したのは、いかにこの馬の競馬を理解してないかってことだ。阪神マイルでのキレもスピードもないのにね。かなり前脚を大きく上げて掻きこむ馬で「遅い」のだけれど、体の伸縮は凄い。普通に考えたら距離が伸びるオークスはいいだろう。

 あとは2000mでキレ負けしたセンターアンジェロ。最後まで伸びていたけど前の2頭はそれ以上に速かったという負け。2400mのここでは「速さ」は必要ではない。無駄のないフォームは長丁場でこそ効率性を生み出して活きてくる。タイムウィルテルは小さい馬体を大きく使って走る。流れが落ち着いてギアを上げることが重要なオークスは良いだろうと思う。ただし坂上の伸びはあまり期待しないで。キャパが小さいから。それとメイプルロードね。前走は不利があって参考外。調教見る限り無駄がなくてストライドは良く伸びる。

 ちなみにピースオブワールドは休養前の走りだったらオークス「も」勝てる馬だ。前肢を振り出して蹴りが強くて凄い走り方をする。牡馬顔負け。ただ骨折明け、しかも強い調教を積みきれてない以上、力を出すのはかなり難しいだろうと。

◎シーイズトウショウ
○メモリーキアヌ
▲マイネルヌーヴェル
注センターアンジェロ
△タイムウィルテル
△メイプルロード